1975年 ビルボードとその時代

1975年のビルボード100で1位になった曲のリストを眺めながら、その年の世界と日本の出来事を振り返ります。
1975年、サイゴン陥落でベトナム戦争終結、マイクロソフト設立
Led Zeppelin, Chicago, Earth, Wind & Fire EW&F, Jefferson Starship, Average White Band AWB

《連載目次》

1975年、サイゴンが陥落してベトナム戦争は終結を迎えます。ベトナム戦争は宣戦布告で開始された戦争ではないので開始がいつなのかはっきりしませんが、1965年にアメリカが軍事介入を行って南ベトナムを支援。北爆が開始されて本格的な戦争へ突入。1973年にアメリカが撤退して1975年で終結という流れで捉えるのが一般的なようです。

5月にはイギリスのエリザベス2世・フィリップ王配夫妻が日本を訪問し、9月30日には天皇・皇后が史上初めて合衆国を公式訪問します。

マイクロソフトが設立されます。ただしこの時点ではまだビル・ゲイツとポール・アレンのパートナーシップにすぎずまだ法人組織ではありませんでした。翌年にはアップルコンピュータが設立されます。その他にも日本では、日本電信電話公社(NTTの前身)がプッシュ式電話機を発売、ソニーがベータ式のビデオテープレコーダーを発売するなど、テクノロジ周辺は賑やかでした。

コミックマーケットの第1回が行われたのもこの年でした。

1975年のビルボードHOT100による1位のシングル一覧

チャートの1位はキャプテン&テニール の「愛ある限り」

KC&サンシャインバンドが「That’s the Way(I Like It)」「Get Down Tonight」と2曲立て続けに1位。EW&Fは「シャイニングスター」が1位の他「Sun Goddess」が44位、「That’s the Way of the World」が12位、「Sing a Song」が5位と爆発的な活躍が目立ちました。オハイオ・プレイヤーズの「Fire」、アヴェレイジ・ホワイト・バンド(AWB)の「Pick Up The Pieces」もこの年なのをみるとポップなダンス系ファンクの台頭を感じます。

さらに言えば、ヴァン・マッコイの「The Hustle」あたりは、ファンクを飛び越えてほとんど次の世代のディスコ・ダンス系を感じさせます。

アーティスト日付
ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ
Lucy in the Sky with Diamonds
エルトン・ジョン1/4
1/11
哀しみのマンディ
Mandy
バリー・マニロウ1/18
プリーズ・ミスター・ポストマン
Please Mr. Postman
カーペンターズ1/25
雨に微笑を
Laughter In The Rain
ニール・セダカ2/1
ファイアー
Fire
オハイオ・プレイヤーズ2/8
悪いあなた
You’re No Good
リンダ・ロンシュタット2/15
ピック・アップ・ザ・ピーセズ
Pick Up the Pieces
アヴェレイジ・ホワイト・バンド2/22
我が愛の至上
Best of My Love
イーグルス3/1
そよ風の誘惑
Have You Never Been Mellow
オリビア・ニュートン=ジョン3/8
ブラック・ウォーター
Black Water
ドゥービー・ブラザーズ3/15
瞳の面影
My Eyes Adored You
フランキー・ヴァリ3/22
レディー・マーマレイド
Lady Marmalade
ラベル3/29
ラヴィング・ユー
Lovin’ You
ミニー・リパートン4/5
フィラデルフィア・フリーダム
Philadelphia Freedom
エルトン・ジョン・バンド4/12
4/19
心にひびく愛の歌
(Hey Won’t You Play) Another Somebody Done Somebody Wrong Song
B・J・トーマス4/26
恋のシーソー・ゲーム
He Don’t Love You (Like I Love You)
トニー・オーランド&ドーン5/3
5/10
5/17
シャイニング・スター
Shining Star (Earth, Wind & Fire song)
アース・ウィンド・アンド・ファイアー5/24
涙のしずく
Before the Next Teardrop Falls
フレディ・フェンダー5/31
すばらしきカントリー・ボーイ
Thank God I’m a Country Boy
ジョン・デンバー6/7
金色の髪の少女
Sister Golden Hair
アメリカ6/14
愛ある限り
Love Will Keep Us Together
キャプテン&テニール6/21
6/28
7/5
7/12
あの娘におせっかい
Listen to What the Man Said
ウイングス7/19
ハッスル
The Hustle
ヴァン・マッコイ&スタイリスティックス・オーケストラ7/26
呪われた夜
One of These Nights
イーグルス8/2
ジャイヴ・トーキン
Jive Talkin’
ビージーズ8/9
8/16
フォーリン・イン・ラヴ
Fallin’ in Love
ハミルトン、ジョー・フランク&レイノルズ8/23
ゲット・ダウン・トゥナイト
Get Down Tonight
KC&ザ・サンシャイン・バンド8/30
ラインストーン・カウボーイ
Rhinestone Cowboy
グレン・キャンベル9/6
9/13
フェイム
Fame
デヴィッド・ボウイ9/20
アイム・ソーリー
I’m Sorry
ジョン・デンバー9/27
フェイム
Fame
デヴィッド・ボウイ10/4
バッド・ブラッド
Bad Blood
ニール・セダカ10/11
10/18
10/25
アイランド・ガール
Island Girl
エルトン・ジョン11/1
11/8
11/15
ザッツ・ザ・ウェイ
That’s the Way (I Like It)
KC&ザ・サンシャイン・バンド11/22
フライ・ロビン・フライ
Fly, Robin, Fly
シルバー・コンベンション11/29
12/6
12/13
ザッツ・ザ・ウェイ
That’s the Way (I Like It)
KC&ザ・サンシャイン・バンド12/20
レッツ・ドゥ・イット・アゲイン
Let’s Do It Again
ザ・ステイプル・シンガーズ12/27

1975年のビルボード200による1位のアルバム一覧

タイトルアーティスト日付
Greatest HitsElton John1/4,11,18,25
2/1
Fire
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Ohio Players2/8
Heart Like A Wheel
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Linda Ronstadt2/15
AWB
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Average White Band2/22
Blood On The Tracks
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Bob Dylan3/1,8
Have You Never Been Mellow
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Olivia Newton-John3/15
Physical Graffiti
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Led Zeppelin3/22,29
4/5,12,19,26
Chicago VIII
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Chicago5/3,10
That’s The Way Of The World (Soundtrack)
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Earth, Wind & Fire5/17,24,31
Captain Fantastic And The Brown Dirt Cowboy
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Elton John6/7,14,21,28
7/5,12
8/30
Venus And Mars
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Wings7/19
One Of These Nights
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Eagles7/26
8/2
8/9
8/16
8/23
Red Octopus
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Jefferson Starship9/6
9/27
11/1
11/29
The Heat Is On
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The Isley Brothers9/13
Between The Lines
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Janis Ian9/20
Wish You Were Here
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Pink Floyd10/4,11
Windsong
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John Denver10/18,25
Rock Of The Westies
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Elton John11/8,15,22
Still Crazy After All These Years
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Paul Simon12/6
Chicago IX: Chicago’s Greatest Hits
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Chicago12/13,20,27

1975年の出来事

  • 2月18日 – 双子デュオ歌手のザ・ピーナッツが引退表明。
  • 4月1日 – サザエさん放送開始
  • 4月4日 – マイクロソフト設立。
  • 4月30日 – サイゴン陥落によりベトナム戦争終結。
  • 5月7日 – イギリスのエリザベス2世夫妻が日本を訪問(イギリスの国家元首として初の来日)。
  • 5月16日 – エベレスト日本女子登山隊の田部井淳子が女性として世界初の登頂に成功。
  • 6月9日 – フィリピン大統領マルコスが中華人民共和国国務院総理周恩来と北京で共同声明を発表し中華人民共和国と国交を結び台湾を中国の一部と認める。
  • 7月17日 – ソ連の宇宙船ソユーズ19号とアメリカの宇宙船アポロ18号が地球を周回する軌道上で史上初の国際ドッキングに成功する(アポロ・ソユーズテスト計画)。
  • 7月19日 – 沖縄国際海洋博覧会開幕。
  • 8月4日 – 日本赤軍がマレーシア・クアラルンプールのアメリカ大使館等を占拠(クアラルンプール事件)。
  • 11月15日 – 第1回先進国首脳会議がフランスのランブイエで開催。
  • 12月21日 – 第1回コミックマーケット開催

日本の年間トップ20アルバム

井上陽水の『氷の世界』が史上初のミリオンセラーアルバムとなる他、トップ20に6枚ランクインという圧倒的な人気を博します。キャロルが日比谷の野音で解散コンサートを行ったのもこの年でした。

  • 1位 井上陽水:『氷の世界』
  • 2位 井上陽水:『二色の独楽』
  • 3位 小椋佳:『彷徨』
  • 4位 よしだたくろう:『今はまだ人生を語らず』
  • 5位 かぐや姫:『かぐや姫LIVE』
  • 6位 かぐや姫:『かぐや姫フォーエバー』
  • 7位 井上陽水:『陽水ライヴ もどり道』
  • 8位 カーペンターズ:『緑の地平線〜ホライゾン』
  • 9位 ダウン・タウン・ブギウギ・バンド:『続・脱・どん底』
  • 10位 グラシェラ・スサーナ:『アドロ/サバの女王』
  • 11位 井上陽水:『断絶』
  • 12位 スリー・ディグリーズ:『世界の恋人/にがい涙』
  • 13位 井上陽水:『GOOD PAGES』
  • 14位 布施明:『ベスト20』
  • 15位 井上陽水:『陽水II センチメンタル』
  • 16位 布施明:『シクラメンのかほりから』
  • 17位 オリビア・ニュートン=ジョン:『そよ風の誘惑』
  • 18位 スリー・ディグリーズ&MFSB:『スリー・ディグリーズ&MFSBショウ』
  • 19位 キャロル:『キャロル・ゴールデン・ヒッツ』
  • 20位 八代亜紀:『ベスト歌謡16』

ロック系アルバムリリース

  • ジョン・レノン 『ロックン・ロール』
  • ニール・ヤング 『ズマ』『今宵その夜』
  • イーグルス 『呪われた夜』
  • ハービー・マン 『ディスコティック』
  • ポール・マッカートニー&ウイングス 『ヴィーナス・アンド・マース』
  • ジョニ・ミッチェル 『夏草の誘い』
  • アース・ウィンド・アンド・ファイアー『暗黒への挑戦』 『灼熱の狂宴』
  • ジェフ・ベック『ブローバイブロー』
  • デヴィッド・ボウイ 『ヤング・アメリカンズ』
  • ジェファーソン・スターシップ 『レッド・オクトパス』
  • グランド・ファンク 『グランド・ファンク・ツアー ’75』
  • ダリル・ホール&ジョン・オーツ 『サラ・スマイル』
  • パーラメント 『チョコレート・シティ』『マザーシップ・コネクション』
  • クール&ザ・ギャング 『スピリット・オブ・ザ・ブギー』
  • オハイオ・プレイヤーズ 『ハニー』
  • ロキシー・ミュージック 『サイレン』
  • ボブ・ディラン 『血の轍』『地下室(ザ・ベースメント・テープス)』『欲望』
  • フリートウッド・マック 『ファンタスティック・マック』
  • パティ・スミス 『ホーセス』
  • ポール・サイモン 『時の流れに』
  • WAR『ホワイ・キャント・ウィ・ビー・フレンズ』
  • ピンク・フロイド 『炎〜あなたがここにいてほしい』
  • ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ 『ライヴ!』
  • ブルース・スプリングスティーン 『明日なき暴走』
  • ZZトップ 『ファンダンゴ』
  • 10cc 『オリジナル・サウンドトラック』
  • ドゥービー・ブラザーズ 『スタンピード』
  • エリック・カルメン 『エリック・カルメン』
  • レーナード・スキナード『ロック魂』
  • ギル・スコット・ヘロン&ブライアン・ジャクソン 『ファースト・ミニット・オブ・ア・ニュー・デイ』
  • ゲス・フー『フレイバーズ』
  • アイアン・バタフライ 『スコーチング・ビューティー』
  • エアロスミス 『闇夜のヘヴィ・ロック』
  • バリー・マニロウ 『歌の贈りもの』
  • ロッド・スチュワート 『アトランティック・クロッシング』
  • クイーン 『オペラ座の夜』

武道館公演

  • 1月29日・30日 – スティーヴィー・ワンダー
  • 3月3日 – バッド・カンパニー
  • 4月19日・5月1日 – クイーン(初来日)
  • 5月22日・23日 – グランド・ファンク・レイルロード
  • 6月27日・28日 – ミッシェル・ポルナレフ
  • 10月17日 – ジョン・デンバー
  • 11月1日・2日 – エリック・クラプトン
  • 11月3日 – 西城秀樹
  • 11月15日・16日 – 第6回世界歌謡祭
  • 12月1日・2日 – クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング

8月にはジェフ・ベックが後楽園で公演を行っている。

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