1983年ビルボードとその時代

1983年の世界と音楽シーン。ARPANET(インターネットの原型)、スペースシャトル、核戦争寸前、マイケル・ジャクソン、スリラー、フラッシュダンス、カルチャークラブ、MTV、ニューロマンティック、第2次ブリティッシュ・インヴェンジョン。

《連載目次》

アメリカの大学間で行われていた研究プロジェクトだったARPANETで、1月1日からTCP/IPプロトコルが導入されました。つまり、今日のインターネットの技術基盤が整備されたことになります。

この年、アメリカのスペースシャトル「チャレンジャー」が4月4日に初めて打ち上げられました。これは宇宙船としては初の再利用型の宇宙飛行機でした。

9月26日には、ソ連の防空システムが誤動作して「アメリカからのミサイル攻撃を検知した」との誤報を出してしまいました。しかし、当時のソ連の担当将校がこれを誤報であると断定し、ソ連からアメリカに対する報復攻撃を回避することができました。この時のソ連上層部の動きについては未だに不明な点が多いのですが、いずれにせよ米ソはあわや全面核戦争という重大な危機をなんとか避けることができました。

1983年のミュージックシーン

1983年のシーンは何といってもマイケル・ジャクソンにつきるでしょう。MTVを舞台としてまさに頂点に上り詰めて「キング・オブ・ポップ」の名を欲しいままにした感があります。アルバム「スリラー」は世界で6千500万枚以上を売り上げ、これはギネスレコードとなりました。シングルカットされた「ビリー・ジーン」、「ビート・イット」は相次いでヒットを飛ばし、アルバムは37週連続で全米1位を維持しました。「スリラー」のPV(MV)は、監督にジョン・ランディスを起用して14分に及ぶ映像は、短編映画のような完成度で世界を魅了しました。

82年頃から顕著になった「ニューロマンティック」のムーブメントは、さらに盛り上げりを見せて。第2次ブリティッシュ・インヴェンジョンと言われました。代表的なところでは、カルチャークラブはマイケルにも迫るような勢いでヒットし、初来日も果たしています。

1983年のビルボードHOT100による1位のシングル一覧

アーティスト日付
ManeaterDaryl Hall John Oates1/1
1/8
Down UnderMen At Work1/15
1/22
1/29
AfricaToto2/5
Down UnderMen At Work2/12
Baby, Come To MePatti Austin A Duet With James Ingram2/19
2/26
Billie JeanMichael Jackson3/5
3/12
3/19
3/26
4/2
4/9
4/16
Come On EileenDexys Midnight Runners4/23
Beat ItMichael Jackson4/30
5/7
5/14
Let’s DanceDavid Bowie5/21
Flashdance…What A FeelingIrene Cara5/28
6/4
6/11
6/18
6/25
7/2
Every Breath You TakeThe Police7/9
7/16
7/23
7/30
8/6
8/13
8/20
8/27
Sweet Dreams (Are Made Of This)Eurythmics9/3
ManiacMichael Sembello9/10
9/17
Tell Her About ItBilly Joel9/24
Total Eclipse Of The HeartBonnie Tyler10/1
10/8
10/15
10/22
Islands In The StreamKenny Rogers Duet With Dolly Parton10/29
11/5
All Night Long (All Night)Lionel Richie11/12
11/19
11/26
12/3
Say Say SayPaul McCartney And Michael Jackson12/10
12/17
12/24
https://www.billboard.com/charts/hot-100/

1983年ビルボード200よる1位のアルバム一覧

タイトルアーティスト日付
Business As UsualMen At Work1/1
1/8
1/15
1/22
1/29
2/5
2/12
2/19
ThrillerMichael Jackson2/26
3/5
3/12
3/19
3/26
4/2
4/9
4/16
4/23
4/30
5/7
5/14
5/21
5/28
6/4
6/11
6/18
FlashdanceSoundtrack6/25
7/2
ThrillerMichael Jackson7/9
7/16
SynchronicityThe Police7/23
7/30
8/6
8/13
8/20
8/27
9/3
ThrillerMichael Jackson9/10
SynchronicityThe Police9/17
9/24
10/1
10/8
10/15
10/22
10/29
11/5
11/12
11/19
Metal HealthQuiet Riot11/26
Can’t Slow DownLionel Richie12/3
12/10
12/17
ThrillerMichael Jackson12/24
12/31
https://www.billboard.com/charts/billboard-200/

1983年にリリースされたアルバム

  • ニール・ヤング 『エヴリィバディーズ・ロッキン』
  • アイズレー・ブラザーズ 『ビトウィーン・ザ・シーツ』
  • マーヴィン・ゲイ 『ミッドナイト・ラヴ』
  • Pファンク・オールスターズ『アーバン・ダンスフロア・ゲリラズ』
  • ワン・ウェイ『シャイン・オン・ミー』
  • UB40 『レイバー・オブ・ラヴ』
  • キンクス 『ステイト・オブ・コンフュージョン』
  • ジャクソン・ブラウン 『愛の使者』
  • プリテンダーズ 『ラーニング・トゥ・クロール』
  • ナイル・ロジャース 『グッド・グルーヴ・アイランド』
  • トーキング・ヘッズ 『スピーキング・イン・タングズ』
  • エルヴィス・コステロ 『パンチ・ザ・クロック』
  • ローリング・ストーンズ 『アンダーカヴァー』
  • デヴィッド・シルヴィアン 『ブリリアント・トゥリーズ』
  • マドンナ 『バーニング・アップ』
  • U2 『WAR』
  • ジャーニー 『フロンティアーズ』

1983年のミュージック・ライフ人気投票

  1. デュラン・デュラン
  2. カルチャー・クラブ
  3. U2
  4. レインボー
  5. マイケル・シェンカー・グループ

1983年のぴあテン音楽

  1. ビリー・ジョエル 『イノセント・マン』
  2. 中島みゆき 『予感』
  3. 松田聖子 『ユートピア』
  4. デヴィット・ボウイ 『レッツ・ダンス』
  5. サザンオールスターズ 『綺麗』

1983年の出来事

  • 1月1日 – ARPANETがIPに切り替わった。
  • 1月2日 – ミュージカル『アニー』が2377回のロングランで終演。
  • 2月13日 – ハワイアン・オープンで青木功が日本人初のアメリカPGAツアー優勝を果たす。
  • 3月6日 – 西ドイツで「緑の党」が議会に初進出。
  • 3月8日 – ロナルド・レーガン米大統領が一般教書演説中に「悪の帝国発言」を行う。
  • 4月15日 – 千葉県浦安市に東京ディズニーランドが開園。
  • 4月18日 – ベイルートの米大使館で爆弾テロ。
  • 5月9日 – ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が、地動説を支持したガリレオ・ガリレイに対する宗教裁判の誤りを認める。
  • 6月18日 – アメリカ人初の女性宇宙飛行士を乗せたスペースシャトル「チャレンジャー」打ち上げ。
  • 7月15日 – 任天堂が「ファミリーコンピュータ」を発売。
  • 8月10日 – フランスがチャド内戦に軍事介入。
  • 8月21日 – フィリピンのベニグノ・アキノ元上院議員暗殺。
  • 9月1日 – 大韓航空機撃墜事件。ソ連の領空を侵犯したボーイング747を撃墜、乗員・乗客269人全員死亡の惨事に。
  • 9月23日 – アラブ首長国連邦アブダビでガルフエア771便爆破事件。
  • 9月26日 – スタニスラフ・ペトロフによる核戦争回避事件が発生。(ソ連の監視衛星が米国からの核ミサイル攻撃を誤検出)
  • 9月29日 – ロンドン市長に初めて女性が就任。
  • 10月9日 – ビルマのラングーンでテロ事件(ラングーン事件)。
  • 10月23日 – ベイルート・アメリカ海兵隊兵舎爆破事件
  • 10月25日 – アメリカ軍、グレナダに侵攻。
  • 11月20日 – 南アフリカ共和国で人種別三院制議会設置を中心とした憲法改正の是非を問う国民投票が実施され賛成過半数。これにより印僑およびカラードにも限定的な参政権が付与された。
  • 12月17日 – ロンドンの百貨店ハロッズでIRAによる爆弾テロ、5名が死亡。

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