1985年ビルボードとその時代 

ゴルバチョフ、プラザ合意、USAフォー・アフリカ、We Are The World、ライブ・エイド、ヒア・アンド・エイド、サン・シティ。a-ha/Take On Me。

《連載目次》

この年の3月、ソ連ではチェルネンコの急死を受けてゴルバチョフが書記長に選出されます。書記長となったゴルバチョフは人事から開始して改革を断行、共産党官僚政治の打開に乗り出します。米ソ間では、米ソ軍備管理・軍縮交渉の再開,米ソ首脳会談の実現など、緊張緩和の動きが見れらるようになり、11月にはゴルバチョフとレーガン米大統領がジュネーブで会談を行います。

1985年9月にニューヨークのプラザホテルで行われた先進5か国財務相・中央銀行総裁会議(G5)において、当時のドル高を是正するため為替市場に協調介入する旨の声明が出されました。これはプラザ合意と呼ばれています。これによりドル相場は下落してひとまず目的は達成されましたが、ドル安に歯止めがかからなくなり円高デフレ現象が発生しました。日本では内需の拡大と市場開放を迫られることになり経済の構造改革が求められるようになります。

プラザ合意は為替相場を自由に変動させる自由変動相場制から、為替市場の状況に応じて適宜介入を行う管理相場制への歴史的な転換点となりました。

1985年のミュージックシーン

84年のバンド・エイドに続いて、音楽によるチャリティは広がりを見せ、ハリー・べラフォンテの呼びかけから大物アーティストが45人集結して録音された「We Are The World」がリリースされ、4月には全米1位となります。さらに、「バンド・エイド」の発起人だったボブ・ゲルドフが提唱して、英米に留まらない大規模なチャリティ・コンサート「ライブ・エイド」が7月に開催されます。

この他にも、メタル系のアーティストが集結した「ヒア・アンド・エイド」、南アフリカのアパルトヘイトに抗議した「サン・シティ」などもリリースされ、チャリティ・ブームとでも呼べるような年となりました。

USAフォー・アフリカ

前年のバンド・エイドに触発されたエチオピア飢饉を救済するためのプロジェクトでした。ハリー・べラフォンテの提唱でスタートし、マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーの共作という形でテーマ曲でが書かれました。プロデュースはクインシー・ジョーンズが担当してスティーヴィー・ワンダーをはじめとする45人もの著名アーティストが参加しました。レコーディングは1月に開始され、3月8日に「We Are The World」としてリリース、4月には全米1位となりました

参加メンバー

  • アル・ジャロウ
  • ウィリー・ネルソン
  • ウェイロン・ジェニングス
  • キム・カーンズ
  • クインシー・ジョーンズ(プロデューサー)
  • ケニー・ロギンス
  • ケニー・ロジャース
  • ジェフリー・オズボーン
  • ジェームス・イングラム
  • ジャッキー・ジャクソン
  • シンディ・ローパー
  • シーラ・E
  • スティーヴィー・ワンダー
  • スティーブ・ペリー
  • スモーキー・ロビンソン
  • ダイアナ・ロス
  • ダリル・ホール&ジョン・オーツ
  • ダン・エイクロイド

  • ディオンヌ・ワーウィック
  • ティト・ジャクソン
  • ティナ・ターナー
  • ハリー・ベラフォンテ
  • ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース
  • ビリー・ジョエル
  • ブルース・スプリングスティーン
  • ベット・ミドラー
  • ポインター・シスターズ
  • ボブ・ゲルドフ
  • ボブ・ディラン
  • ポール・サイモン
  • マイケル・ジャクソン
  • マーロン・ジャクソン
  • ライオネル・リッチー
  • ラトーヤ・ジャクソン
  • ランディ・ジャクソン
  • リンジー・バッキンガム
  • レイ・チャールズ

ライブ・エイド

1985年7月13日に行われた、20世紀最大のチャリティーコンサート。少なくとも規模ではWoodstockを上回ります。

会場はUKがロンドン郊外ウェンブリー・スタジアム、USはフィラデルフィアのJFKスタジアムが使用されました。UKの正午(フィラデルフィアは7:00am)にスタートし、前半はUKから中継、途中からUK・USの2元で中継が行われました。

開催総時間はトータルで約12時間に及び、84か国に衛星同時生中継されました。日本ではフジテレビが7月13日午後9時から7月14日正午まで放送しました。規模が大きい故のマイナーなトラブルは後を絶たなかったようで、特に日本での中継番組についてはネガティブな印象が多く残っているようにも見受けられます。そんな中、Queenが伝説的なステージを残す一方で、このイベントのために再結成されたLed Zeppelinのステージについては後味の悪いものだったようです。

Live Aid at JFK Stadium, Philadelphia, PA (cropped1)
Squelle, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

ウェンブリー・スタジアム(英)

  • コールドストリームガーズ軍楽隊
  • ステイタス・クォー
  • ザ・スタイル・カウンシル
  • ブームタウン・ラッツ
  • アダム・アント
  • ウルトラヴォックス
  • スパンダー・バレエ
  • エルヴィス・コステロ
  • ニック・カーショウ
  • シャーデー
  • スティング
  • フィル・コリンズ
  • ハワード・ジョーンズ
  • ブライアン・フェリー
  • デヴィッド・ギルモア
  • ポール・ヤング(ここから英米2元中継)
  • アリソン・モイエ
  • U2
  • ダイアー・ストレイツ
  • クイーン
  • デヴィッド・ボウイ
  • ザ・フー
  • エルトン・ジョン
  • キキ・ディー
  • ワム!
  • フレディ・マーキュリー&ブライアン・メイ
  • ポール・マッカートニー

JFKスタジアム(米)

  • ジャック・ニコルソン、ベット・ミドラー
  • ジョーン・バエズ
  • フォー・トップス
  • ビリー・オーシャン
  • ブラック・サバスfeatオジー・オズボーン
  • RUN D.M.C.
  • リック・スプリングフィールド
  • REOスピードワゴン
  • クロスビー、スティルス&ナッシュ
  • ジューダス・プリースト
  • ブライアン・アダムス
  • ビーチ・ボーイズ
  • ジョージ・ソログッド&ザ・デストロイヤーズ、アルバート・コリンズ
  • シンプル・マインズ
  • プリテンダーズ
  • サンタナ、パット・メセニー
  • アシュフォート&シンプソン、テディ・ペンダーグラス
  • マドンナ
  • トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
  • ケニー・ロギンス
  • カーズ
  • ニール・ヤング
  • パワー・ステーション
  • トンプソン・ツインズ、スティーヴ・スティーヴンス、ナイル・ロジャース
  • エリック・クラプトン
  • フィル・コリンズ
  • レッド・ツェッペリン
  • デュラン・デュラン
  • パティ・ラベル
  • ダリル・ホール&ジョン・オーツ
  • エディ・ケンドリックス
  • デヴィッド・ラフィン
  • ミック・ジャガー
  • ティナ・ターナー
  • ボブ・ディラン、キース・リチャーズ、ロン・ウッド

1985年のビルボードHOT100による1位のシングル一覧

アーティスト日付
Like A VirginMadonna1/5
1/12
1/19
1/26
I Want To Know What Love IsForeigner2/2
2/9
Careless WhisperWham! Featuring George Michael2/16
2/23
3/2
Can’t Fight This FeelingREO Speedwagon3/9
3/16
3/23
One More NightPhil Collins3/30
4/6
We Are The WorldUSA For Africa4/13
4/20
4/27
5/4
Crazy For YouMadonna5/11
Don’t You (Forget About Me)Simple Minds5/18
Everything She WantsWham!5/25
6/1

Everybody Wants To Rule The World
Tears For Fears6/8
6/15
HeavenBryan Adams6/22
6/29
SussudioPhil Collins7/6
A View To A KillDuran Duran7/13
7/20
Everytime You Go AwayPaul Young7/27
ShoutTears For Fears8/3
8/10
8/17
The Power Of LoveHuey Lewis & The News8/24
8/31
St. Elmo’s Fire (Man In Motion)John Parr9/7
9/14
Money For NothingDire Straits9/21
9/28
10/5
Oh SheilaReady For The World10/12
Take On Mea-ha10/19
Saving All My Love For YouWhitney Houston10/26
Part-Time LoverStevie Wonder11/2
Miami Vice ThemeJan Hammer11/9
We Built This CityStarship11/16
11/23
Separate LivesPhil Collins and Marilyn Martin11/30
Broken WingsMr. Mister12/7
12/14
Say You, Say MeLionel Richie12/21
12/28
ビルボードHOT100

1985年のビルボード200による1位のアルバム一覧

タイトルアーティスト日付
Purple Rain (Soundtrack)Prince And The Revolution1/5
1/12
Born In The U.S.A.Bruce Springsteen1/19
1/26
2/2
Like A VirginMadonna2/9
2/16
2/23
Make It BigWham!3/2
3/9
3/16
CenterfieldJohn Fogerty3/23
No Jacket RequiredPhil Collins3/30
4/6
4/13
4/20
We Are The WorldUSA For Africa4/27
5/4
5/11
No Jacket RequiredPhil Collins5/18
5/25
Around The World In A DayPrince And The Revolution6/1
6/8
6/15
Beverly Hills CopSoundtrack6/22
6/29
No Jacket RequiredPhil Collins7/6
Songs From The Big ChairTears For Fears7/13
7/20
7/27
8/3
RecklessBryan Adams8/10
8/17
Songs From The Big ChairTears For Fears8/24
Brothers In ArmsDire Straits8/31
9/7
9/14
9/21
9/28
10/5
10/12
10/19
10/26
Miami ViceSoundtrack11/2
11/9
11/16
11/23
11/30
12/7
12/14
HeartHeart12/21
Miami ViceSoundtrack12/28
ビルボード200

1985年の国内アルバムランキング

井上陽水、安全地帯、松任谷由美といったニューミュージック系が全盛ですが、山下達郎、高中正義等、当時の西海岸サウンドやAORに強く影響を受けたシティ・ポップ系が目を引きます。

また、中森明菜、松田聖子、小泉今日子といったアイドル系の活躍も目立ちますが、こちらも洋楽、特に西海岸系のサウンドに強く影響を受けたものになっています。

1985年のミュージック・ライフ人気投票

  1. デュラン・デュラン
  2. ラット
  3. モトリー・クルー
  4. ア・ハ
  5. ヒューイ・ルイス&ザニュース

1985年のぴあテン音楽

  1. サザンオールスターズ
  2. ブルース・スプリングスティーン
  3. 中島みゆき
  4. レベッカ
  5. ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース

1985年の世界の出来事

  • 1月20日 – ロナルド・レーガンがアメリカ合衆国大統領の2期目の任期開始。
  • 2月6日 – スティーブ・ウォズニアックが米Apple Computerを去る。
  • 2月16日 – イスラエル軍がレバノンからの撤退開始。
  • 3月4日 – アメリカ食品医薬品局、献血された血液に対するHIV検査を承認。
  • 3月10日 – ソ連共産党書記長・チェルネンコが死去。
  • 3月11日 – ゴルバチョフがソ連共産党書記長に就任。
  • 3月15日 – DNSに最初のドメイン名「symbolics.com」が登録される
  • 3月17日 – 国際科学技術博覧会(つくば’85)開催(〜9月16日)
  • 4月15日 – 南アフリカ共和国、異民族間の結婚を禁止する法律を廃止。
  • 6月18日 – 豊田商事会長刺殺事件。豊田商事会長・永野一男が大阪府大阪市北区天神橋の自宅マンションで殺害される。
  • 7月13日 – ライヴエイドコンサートが開かれる。
  • 8月12日 – 日本航空123便墜落事故が発生。単独機として史上最悪の事故。
  • 9月13日 – 任天堂のアクションゲーム『スーパーマリオブラザーズ』が日本で発売(北米では10月、欧州では1987年に発売)。
  • 9月19日 – メキシコでマグニチュード8.1の巨大地震、9千人以上死亡、3万人以上がけが、9万人以上が家屋を失う被害。
  • 9月22日 – アメリカのニューヨークでG5がプラザ合意。翌日ドルは暴落。日本円は1ドル200円台から100円台に高騰した。この後日本は円高不況を経てバブル景気へ向かう。
  • 11月19日 – アメリカ合衆国大統領のロナルド・レーガンとソ連共産党書記長のゴルバチョフが、スイス・ジュネーヴで初会談を行う。
  • 11月29日 – 過激派による国電同時多発ゲリラ事件。首都圏、大阪を初め各地で線路のケーブルが切断されダイヤが混乱。600万人に影響が出る。

Wikipedia

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