LABELLEとパティ・ラベル

前の記事ではローラ・ニーロとLABELLEのコラボレート「Gonna Take A Miracle」を紹介したが、今回はLABELLEの方を紹介したい。


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グループとしての「LABELLE」は、名前のせいでパティ・ラベルの一人グループのようにもイメージされてしまうが、実は必ずしもそうではない。

生い立ちからブルーベリーズまで

パトリシア・ホルト(後のパティ・ラベル)は、1944年にフィラデルフィアで生まれ、地元の聖歌隊で歌いながら育った。友人のシンディー・バーズソングと組んで音楽活動をしていたが、ライバルグループにいたノナ・ヘンドリックス、サラ・ダッシュが加わった4人でグループを組むことになり名前も「ブルー・ベリーズ」と名乗るようになった。1965年にアトランティックと契約して、スタンダード曲 “Somewhere Over the Rainbow “のカバーヴァージョンでちょっとしたマイナー・ヒットを記録したが、その後はパっとしなかったようだ。1967年にはメンバーの一人シンディー・バーズソングはシュープリームスに加入し、グループはトリオで活動することになった。

LABELLEの誕生

1970年にトリオは1970年にイギリス人のマネージャー、ヴィッキー・ウィッカムと契約、ウィッカムはグループ名をシンプルに「LABELLE」と改め、音楽性も一般的なガールズグループ路線から、ファンク、ロックの方法へシフトすることになった。

LABELLEはその頃のガールズ・グループには珍しく、はっきりとしたメッセージ性を前に出すなど、当時の女性グループとしてかなりアヴァンギャルドな存在だった。ラブソングをキュートにハモるだけのガールズグループではなかったのだ。そしてその実力はゆっくりとではあったが認められるようになるり、ニューヨークのメトロポリタン・オペラハウスに出演した初のアフリカ系アメリカ人アーティストとなった。そして1975年にはアラン・トゥーサンのプロデュースによる「Lady Marmalade」が大ヒットを飛ばし、全米チャートナンバーワンヒットとなった。

Lady Marmalade

「Lady Marmalade」はニューオリンズの娼婦たちへの頌歌となっていて、印象的なフランス語のコーラス”voulez-vous coucher avec moi ce soir?”は、「(ねぇ)今夜は私と遊ぶ?」というニュアンスを意味しており、とにかく一度聴いたら耳について二度と忘れることがないほど印象的だ。因みにこの曲は2001年公開の映画『ムーランルージュ』のサウンドトラックでカバーされている。

その後もグループは1975年の『Phoenix』、1976年の『Chameleon』と続けざまに傑作アルバムをリリースするのだが、商業的にはさほどの成功を納めることができずにいた。グループに多くの曲を提供してソングライターとしての力も評価されていたノナ・ヘンドリックスとグループの間に音楽的な方向性の違いが生じるようになってきており、グループは1976年末に解散した。

解散後のLABELLE

解散後も彼女たちの活躍は続き、パティ・ラベルは、ブラック・コンテンポラリーをアピールするヒットメーカーとして成功を収め、「New Attitude」やマイケル・マクドナルドとのデュエット曲 「On My Own」で1位を獲得するなど、堂々たるキャリアを築いた。

ノナ・ヘンドリックスは、1980年代になってからニューヨークのダウンタウンにおけるアヴァンギャルドシーンに活躍の場を移し、ビル・ラズウェルらと作品を残した他、デヴィッド・バーン(トーキング・ヘッズ)、オノ・ヨーコ、アリス。クーパーなど、錚々たるメンバー達とコラボレートしている。

サラ・ダッシュはローリング・ストーンズのサポートメンバーとして、特にキースリ・チャーズと共に長年にわたって活動した。

トリオは2008年に再結成を行い、ヴァーヴ・レーベルから『バック・トゥ・ナウ』を発表した。このアルバムには、ギャンブル&ハフ、レニー・クラヴィッツ、ワイクリフ・ジーンらがセッションに参加している。そして結成メンバーでもあったサラ・ダッシュは2021年9月20日に76歳で逝去した。

前回のローラ・ニーロとラベル周辺のアーティストとその周辺の相関関係を、例によってルーツグラフで表示してみた。このグラフは音楽ルーツグラフで実際に表示して動かして遊んでみることができる。
このグラフは、動かしたりアーティスト同士の関係を深堀して探索するなどいろいろと遊んでみることができるので是非遊んでみてください。

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