1980年ビルボードとその時代

1980年の世界と音楽シーン。米ソ関係の悪化、イラン・イラク戦争、景気後退。NWOBHM、Monsters Of Rock、YMO、テクノ。

《連載目次》

1979年末のソ連によるアフガニスタンへの軍事介入以来、米ソの関係が悪化して世界は不安定な状態に陥ります。さらには1980年の夏以降ポーランド状勢が緊迫化して国際情勢の不安定化に拍車をかけることになりました。

イラン・イラク間の本格的な戦闘の発生,イラン国内情勢の引き続く混迷などの結果,中東、湾岸地域の安全保障問題の重要性に対する認識が一段と強まります。

先進国経済は79年までは拡大局面だったのですが,80年に至り欧州諸国に続いて米国が景気後退に陥り、インフレ、失業の増大、経常収支赤字に直面します。一方では、非産油開発途上国においても79年以降の第2次石油危機を主因として、交易条件の悪化,経常収支赤字が増大するなど困難な状況を迎えます。

もう一つ特筆しなくてはならないのがジョン・レノンの射殺事件です。12月8日の出来事でした。

1980年のロックシーンとNWOBHM

1980年のイギリスを中心としてNWOBHMと呼ばれるムーブメントが起こります。NWOBHMとはNew Wave Of British Heavy Metalを意味する言葉で、アイアン・メイデン、デフ・レパードなどが代表的なバンドとされています。

70年代前半に隆盛をみたブリティッシュ・ハードロックは、70年代後半のパンク・ニューウェーブに押される形で失速した後、ローカルのアンダーグラウンドでマニアックな若者たちの支持によって生きながらえていました。こうして生き延びたハードロックが装いを新たに「ニューウェーブ」として「ヘヴィーメタル」として生まれ変わり、再びイギリス全土の規模で再生・復活します。これがNWOBHMです。

8月の末には、ポリドールレコードのバックアップを受けて、ドニントンパークで大規模なフェスティバルMonsters Of Rockが開催されます。このフェスティバルはNWOBHMのムーブメントの盛り上がりを受けたものでした。

1980年日本の音楽シーン

YMOが79年末にヨーロッパでのツアーを行い、このツアーの成功を逆輸入する形で日本におけるYMOの人気は絶頂を迎えます。テクノポップは大きなムーブメントになりP-MODEL、ヒカシュー、プラスチックスが「テクノ御三家」と呼ばれるようになります。

1980年の日本の音楽シーンは、ニューミュージック、アイドル、テクノポップでほぼ言い尽くせてしまします。この年ニューミュージックのジャンルで人気を得ていたアーティストを列挙しておきます。

  • 松山千春
  • 久保田早紀
  • 中島みゆき
  • 長渕剛
  • 松山千春
  • 谷村新司
  • 竹内まりや
  • サザンオールスターズ
  • もんた&ブラザーズ
  • アリス
  • さだまさし
  • 中島みゆき
  • 五輪真弓
  • シャネルズ
  • 松任谷由実
  • 高中正義
  • 八神純子
  • アリス 
  • さだまさし
  • 八神純子
  • オフコース
  • 山下達郎
  • クリスタルキング
  • イルカ 
  • 甲斐バンド

1980年のビルボードHOT100による1位のシングル一覧

アーティスト日付
Please Don’t GoKC And The Sunshine Band1/5
Escape (The Pina Colada Song)Rupert Holmes1/12
Rock With YouMichael Jackson1/19
1/26
2/2
2/9
Do That To Me One More TimeCaptain & Tennille2/16
Crazy Little Thing Called LoveQueen2/23
3/1
3/8
3/15
Another Brick In The Wall (Part II)Pink Floyd3/22
3/29
4/5
4/12
Call MeBlondie4/19
4/26
5/3
5/10
5/17
5/24
FunkytownLipps, Inc.5/31
6/7
6/14
6/21
Coming Up (Live At Glasgow)Paul McCartney And Wings6/28
7/5
7/12
It’s Still Rock And Roll To MeBilly Joel7/19
7/26
MagicOlivia Newton-John8/2
8/9
8/16
8/23
SailingChristopher Cross8/30
Upside DownDiana Ross9/6
9/13
9/20
9/27
Another One Bites The DustQueen10/4
10/11
10/18
Woman In LoveBarbra Streisand10/25
11/1
11/8
LadyKenny Rogers11/15
11/22
11/29
12/6
12/13
12/20
(Just Like) Starting OverJohn Lennon12/27
ビルボードHOT100

1980年のビルボード200による1位のアルバム一覧

アルバムアーティスト日付
On The Radio: Greatest Hits: Volumes I & IIDonna Summer1/5
Bee Gee’s GreatestBee Gees1/12
The WallPink Floyd1/19
1/26
2/2
2/9
2/16
2/23
3/1
3/8
3/15
3/22
3/29
4/5
4/12
4/19
4/26
Against The WindBob Seger & The Silver Bullet Band5/3
5/10
5/17
5/24
5/31
6/7
Glass HousesBilly Joel6/14
6/21
6/28
7/5
7/12
7/19
Emotional RescueThe Rolling Stones7/26
8/2
8/9
8/16
8/23
8/30
9/6
Hold OutJackson Browne9/13
The GameQueen9/20
9/27
10/4
10/11
10/18
GuiltyBarbra Streisand10/25
11/1
The RiverBruce Springsteen11/8
11/15
11/22
11/29
GuiltyBarbra Streisand12/6
Kenny Rogers’ Greatest HitsKenny Rogers12/13
12/20
Double FantasyJohn Lennon & Yoko Ono12/27
ビルボード200

ミュージックライフ人気投票

  1. クイーン
  2. キッス
  3. レインボー
  4. チープ・トリック
  5. ホワイトスネイク

ぴあテン音楽

  1. 「増殖」YMO
  2. 「We Are」オフコース
  3. 「ダブル・ファンタジー」ジョン・レノン&ヨーコ・オノ
  4. 「タイニー・バブルス」サザンオールスターズ
  5. 「生きていてもいいですか」中島みゆき

1980年の出来事

  • 1月5日 – ヒューレット・パッカード社が同社初のパーソナルコンピュータを発表。
  • 1月16日 – ポール・マッカートニーが大麻所持の容疑で成田空港内で逮捕される。
  • 1月26日 – エジプトとイスラエルが国交を樹立する。
  • 1月28日 – イラン初の大統領選挙でバニサドルが当選。
  • 2月13日 – レークプラシッドオリンピックが開幕。
  • 2月29日 – 韓国で金大中が公民権を回復(ソウルの春)。
  • 3月4日 – ジンバブエ・ローデシアで選挙。ムガベのジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線が圧勝。
  • 4月17日 – 中国がIMFに加盟、台湾脱退。
  • 4月18日 – ジンバブエがイギリスより独立。
  • 4月23日 – アメリカ軍がイラン人質救出作戦に失敗。
  • 5月4日 – チトー大統領が死去。
  • 5月8日 – 世界保健機関が天然痘の根絶宣言。
  • 5月18日 – 韓国、光州事件。
  • 5月18日 – アメリカのセント・ヘレンズ山が大噴火を起こし山体が崩壊。
  • 7月19日 – モスクワオリンピックが開幕。日本、アメリカなど67か国のIOC加盟国がボイコットを表明した。
  • 8月14日 – ポーランドで民主化運動が起き「連帯」の設立へ連なる。
  • 9月12日 – トルコで9月12日クーデターが起こる。
  • 9月17日 – ポーランドで独立自主管理労働組合「連帯」が結成される。
  • 9月18日 – アメリカ・アーカンソー州のダマスカスにあるタイタンミサイル基地で整備員のミスでミサイルの燃料タンクが破損。翌日、ミサイルは核弾頭を搭載したまま爆発する。死者1名。
  • 9月22日 – イラン・イラク戦争勃発。
  • 9月26日 – ドイツ・ミュンヘンのビール祭り会場で爆弾テロ、13人が死亡する。
  • 10月10日 – アルジェリアで大地震発生。
  • 11月4日 – 1980年米大統領選挙でロナルド・レーガンが現職のジミー・カーターを破り当選する。
  • 12月8日 – ジョン・レノン銃殺事件。
  • 12月12日 – 日本の自動車生産台数が世界第1位になる。
  • 12月14日 – 胡耀邦が文化大革命を全面否定。
  • 12月15日 – OPEC総会開催、原油価格10%値上げ決定。

1980年にリリースされたアルバム

  • ジョン・レノン『ダブル・ファンタジー』
  • スティーリー・ダン 『ガウチョ』
  • ザ・クラッシュ – 『サンディニスタ』
  • ジョニ・ミッチェル 『シャドウズ・アンド・ライト』
  • ブルース・スプリングスティーン 『ザ・リバー』
  • ヴィサージ 『ヴィサージ』
  • ジェネシス 『デューク』
  • エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ 『ゲット・ハッピー』
  • フリートウッド・マック 『フリートウッド・マック・ライヴ』
  • AC/DC 『バック・イン・ブラック』
  • ジョージ・ウィンストン 『オータム』
  • ローリング・ストーンズ 『エモーショナル・レスキュー』
  • クイーン 『ザ・ゲーム』『フラッシュ・ゴードン』
  • プロフェッサー・ロングヘア『クロウフィッシュ・フィエスタ』
  • ニール・ヤング 『タカ派とハト派』
  • スモーキー・ロビンソン 『ウェア・ゼアズ・ア・スモーク』
  • バーケイズ – 「アズ・ワン」
  • ザ・ビート – 「アイ・ジャスト・キャント・ストップ・イット」
  • ボブ・マーレー – 「アップライジング」
  • デヴィッド・ボウイ – 「スケアリー・モンスターズ」
  • ジャクソン・ブラウン – 「ホールド・アウト」
  • ケイト・ブッシュ – 「ネヴァー・フォー・エヴァー」
  • ブーツィー・コリンズ – 『ウルトラ・ウェーヴ』
  • アリス・クーパー – 『フラッシュ・ザ・ファッション』
  • B-52’s 『禁断の惑星』

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