ザ・エモーションズとスウェイビート

The Emotionsって誰?という人でも、Earth, Wind And Fireの「Boogie Wonder Land」でコーラスやってる3人組、と言えばピンとくる人も少なくないと思う。「Boogie Wonder Land」は79年。少し前の1977年には「Best of My Love」が全米一位となっていて、ディスコ全盛期の代表的なヒット曲として記憶されている。この曲は翌78年のグラミーも勝ち取っている(Best R&B Vocal Performance by a Duo, Group or Chorus)。

カリンバレーベルへ移籍時のアルバム「The Flowers」を聴くと、モーリス・ホワイトのサポートを受けて、ポップでダンサブル、これ以上ないというほどに聴きやすいEW&Fサウンドとなっている。なんというか女性ヴォーカル版のEW&Fという感じ。

大ヒットした「Boogie Wonder Land」はEW&Fの代表的なダンスナンバーの一つだが、The Emotionsによるバックコーラスはあまりにも存在感があって、この曲と言えばあのコーラスをすぐに思い出す。

大ブレークしたのは、EW&Fのカリンバレーベルへ移籍した70年代後半だが、実はキャリアは結構長くて、スタックスからデビューしたのは1968年のことだった。元々はパメラ・ハッチソン、シーラ・ハッチソン、ワンダ・ハッチソン というハッチソン姉妹によるシカゴのゴスペル・ファミリーグループだった。1975年にスタックスが倒産した後、モーリス・ホワイトの助力でカリンバレーベルから再出発を図ることになり、レコード会社はCBSに移籍。「Boogie Wonder Land」以外に、EW&Fの「Electric Universe」(1983年)でもパメラとワンダのコーラスがフューチャーされている。

ところで「Best of My Love」の話が出てくると必ず「スウェイ・ビート」の話がついてくる。Best Of~が代表とされるリズムパターンの話なのだが、まずこの「スウェイ・ビート」という呼び方は和製英語で英語圏では通用しないらしい。それはともかくとしてこのスウェイ・ビートの曲、Best Of~の他では、Cheryl Lynn – Got To Be RealとかAlton McClain & Destiny – It Must Be Love、BT Express – Have Some Fun等々あの時代のヒットがゴロゴロある。

あの時代(70年代後半)ディスコヒットと言えばほとんど必ずといっていいくらいに、ドラムのキックがバカの一つ覚えのように「4つ打ち」(ドン・ドン・ドン・ドド)で、しまいにあの「4つ打ち」が耳についてうんざりするくらいだった。そういう中でのスウェイビートのシンコペパターンは本当に気持ちよくて救いだった。スウェイの中でも一番カッコよかったのが「Best of My Love」だったのは間違いない。

さて、彼女たちThe Emotions はその後も活躍を続けており、2016年にはアンソロジーがリリースされている。しかし残念ながら最後にメンバーに加わった末妹のパメラは2020年にわずか61歳で亡くなってしまっている。


【輸入盤】 Emotions エモーションズ / Blessed: The Emotions Anthology 1969-1985 【CD】
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