伝説のデルタ・ブルース・セッション1930

The Legendary Delta Blues Session


CD / サン・ハウス&チャーリー・パットン / 伝説のデルタ・ブルース・セッション1930 (ライナーノーツ/解説歌詞付)

1930年5月28日、デルタ・ブルースの創始者と目されるチャーリー・パットンと、それを受け継いだサン・ハウス。さらにウィリー・ブラウンとルイーズ・ジョンスンを加えて行ったレコーディング・セッションを収めた名盤です。
1991年に発売された旧盤に、同セッションで録音されながら2005年に発見されるまで現存が確認されなかった「Clarksdale Moan」と「Mississippi County Farm Blues」を追加収録した完全版として再発売されました。

  1. All Night Long Blues /Louise Johnson
  2. Long Ways from Home /Louise Johnson
  3. Mississippi County Farm Blues /Son House
  4. Clarksdale Moan /Son House
  5. My Black Mama, Pt. 1 /Son House
  6. My Black Mama, Pt. 2 /Son House
  7. Preachin’ the Blues, Pt. 3 /Son House
  8. Preachin’ the Blues, Pt. 4 /Son House
  9. M & O Blues /Willie Brown
  10. Future Blues /Willie Brown
  11. On the Wall /Louise Johnson
  12. By the Moon and Stars /Louise Johnson
  13. Dry Spell Blues, Pt. 1 /Son House
  14. Dry Spell Blues, Pt. 2 /Son House
  15. Dry Well Blues /Charie Patton
  16. Some Summer Day, Pt. 1 /Charie Patton
  17. Moon Going Down /Charie Patton
  18. Bird Nest Bound /Charie Patton

ウィリー・ブラウンがチャーリー・パットンのトラック#17 Moon Going Down と#18 Bird Nest Bound で一緒にデュオでギターを弾いている他はそれぞれのソロ演奏が収められています。

そもそもはこのレコーディング、1930年の5月にパラマウントレコードからチャーリー・パットンに録音を依頼して、しかもパットン以外のタレントも一緒にセッションの形にしたい、という要望が出され、それにこたえる形で、パットンがウィリー・ジョンソン、サン・ハウス、ルイーズ・ジョンソンを推薦したといういきさつがあります。

チャーリー・パットンとサン・ハウスはデルタを代表する二人ですので別の機会に紹介できると思います。ここでは知名度があまりないと思われる残りの二人を少しだけ紹介しておきます。

ウィリー・ブラウン

しばしばチャーリー・パットンの相棒としてブルースの歴史の場面にたびたび登場するのですが、録音が残っているのは、このセッションにおける2曲だけです。ギターテクニックについては評価が高く、サン・ハウス他の証言によれば師匠のチャーリー・パットンより巧かった、とさえ言われています。このセッションにおける2曲についても、ギターも歌もクオリティが高く聴きごたえのあるものです。

特筆すべきはロバート・ジョンソンとの関係でしょう。ブラウンは、ロバート・ジョンソンのギターに、特にテクニックの面で最も強い影響を与えた一人であるといって間違いありません。そして極めつけはCross Road Bluesです。その歌詞の最後の方で中で”You can run, you can run, tell my friend Willie Brown“と歌われるのがこのウィリー・ブラウンその人だと言われています。

ルイーズ・ジョンソン

レコーディングに参加した時点で若干19歳のシンガーでピアニスト。小柄で血気さかんな彼女の演奏は地元で大した呼び物になっていた、といいます。小柄な美人だったらしく、ピアノは驚くほどに巧いし、パワフルな歌声で露骨に卑猥な歌を叫んでいた、というから呼び物になるのもうなづけます。実はチャーリー・パットンのガール・フレンドだった、という話もあります。ルイーズをチャーリー・パットンに紹介したのがウィリー・ブラウンで、パットンはいっぺんに彼女に惹かれて口説き始めたのだそうです。

最後に私事を、

このアルバム名盤として名高くもあり、チャーリー・パットンとサン・ハウスを目当てに買ったのですが、いきなり登場するルイーズの歌とピアノに完全に圧倒されてしまい、次にはウィリー・ブラウンの良さに唸りました。最初のうちは、パットンはそっちのけでルイーズとウィリー・ブラウンばかり聴いていた事を白状しておきます。ですが言うまでもなく、このセッションの主役はパットンとこの時絶好調で勢いづくサン・ハウスです。

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